- 麻着物の洗濯
- 「失われた色を求めて」再放送
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2020.05.14 Thursday
昨年亡くなられた 染司よしおか5代目吉岡常雄氏の「失われた色を求めて」がNHKのハイビジョン特集で深夜再放送され、見入ってしまいました。あらためて「日本の色」について感動をおぼえました。
正倉院に保存されていた古代紫の裂・・・退色なくきれいな紫を示しています。これを再現するために、紫草の栽培開始、失敗を繰り返し、やっと紫草の根を入手、そして染の試行・・・番組で紹介されたのは、紫草、日本茜、紅花、蓼藍、刈安などでした。
それぞれに、計り知れない情熱と努力をもって再現する様が紹介されました。
三峰神社に保存される国宝の鎧に使われている飾り紐、1000年前の日本茜と明治時代に補修で使われた化学染料の茜色は見事に天然染料の底力を示していました。前者は茜色、後者は退色してベージュ色になっていました。平安時代に作られたものがそのまま退色しないで残されているのは驚きです。
氏の染織品が、英国のV& A博物博物館に永久保存されることになった理由がわかる気がします。特別展示は6月まで会期延長されているようです。
手元にあった吉岡氏の本を出してみました。
日本の色は、見開きに植物染料見本裂が32種、印刷ではなく裂が貼られています。今思うと貴重な本です。
手間暇を惜しまず時間と汗を使う古代の染織のすごさをあらためて感じました。
- ログキャビン
- 相変わらず骨董市
- 襖用上布
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2017.08.28 Monday
茶室の襖布を支給していましたが、少しばかり不足していました。
白の大島紬の反物を購入して、枇杷と梶の葉でそれぞれ草木染をしてみましたが、どうも希望の状態にはなりませんでした。
そこで、古い越後上布の着物を解き、これを襖布に使ってもらうことにしました。
本麻の手績み・・・人の手の限界が生み出すこの細さと、自然素材の不均一感がかもし出す素朴さ、うまく行くといいのですが・・・
解いた麻布は、酸素系の漂白剤を多めにいれ、熱湯の中に漬け込みます。そして時々上下を変えて数時間放置します。
こうすると、シミなどもほとんどきれいに取れます。洗濯機で1分脱水、バスタオルの上に平らに広げて、くるくる巻き、絞ります。この半分ぬれた状態の時に最高温度のアイロンで丁寧に布幅を伸ばし、ねじれないように意識しながらアイロンを掛けます。これ以上乾いてしまうとうまく行きません。
糸味抜群です・・と単に自己満足。
襖布の残りは、のれんにでもなるでしょうか?
- 桜の裂
- 桜の型染め
- 昔の手仕事
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2015.02.22 Sunday片付けをしていたら、解きかけで放置してあった古い・・・多分江戸期の中着が出てきました。必要な部分だけ取ってそのままにしてあったようです。
そのまま処分しようかと思いましたが、ながめている内にその着物に携わった人たちの手が思い起こされました。
今は絹のしつけ糸を使いますが、昔は麻・・・それも糸になるまえの麻が普通です。どんなに薄物の絹の着物でも麻のしつけです。麻糸はずれないので、しつけ糸としての効果は抜群、そして安価だったのだと思われます。中綿は?というと中着の場合は、決まって真綿です。 白もあれば赤や青の真綿が使われていることもあります。胴裏は必ず薄絹の紅絹(モミ)、そして紅花で染められています。
表の江戸縮緬はぼろぼろでしたが、紅絹には力が残っていました。
八掛に使われていたのは、家織の薄手の紬地で藍一色。隅っこに藍を何度か掛けた様子が残っていました。今にも染めた藍の粉が飛び出しそうな綺麗な藍染めです。表の一部に使われていたのが、絹紬の型染めです。江戸縮緬と違って、こちらは布の力は十分残っています。紅花と藍の2色で、型の長さは20cm・・・それを反復して染めた様子が型に残った印から解ります。1M染めるのに、藍と紅花それぞれ5回ずつ計10回の染めの工程を経たことになります。
紅花や藍タデを育てた人、紅花から紅玉を作った人、染めた人、型染の版を彫った人、型を何度も反復して染めた人、麻を育て、繊維を取り出した人、蚕を育て絹を引いた人、手機で織った人・・・この中着に関わった昔の人達の時間を超えた手仕事にあらためて脱帽したくなりました。
- お抹茶のシミ
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2015.01.13 Tuesday今日のNHKの「趣味Do楽」「にっぽんの布を楽しむ」のテーマは縮緬でしたね。
横糸に逆方向の撚りを掛け、それを交互に織り込むことで縮緬独特のしわを出すプロセスが解りやすく説明されていました。
昨日の初釜で着物にお抹茶のシミを付けてしまいました。「アッ」と思ったときは、もう遅かったのです。お濃茶があまり美味しくて、茶碗の中ばかり見ていました。茶碗が大きいので、飲み口からのたれが手に付いていたのですね。それに気が付かず、着物にさわってしまったようです。くっきりと抹茶色楕円の染付けが本来の染付けにプラスされていました。
帰路、染み抜きにだす予定外出費のことが頭の中でめぐっていました。
帰宅してすぐダメモトで・・・自己解決。お抹茶は完全に乾いていましたので、先ず、歯ブラシでお抹茶の粉を浮かせます。浮いた粉をガムテープで取り除く、これを何度も繰り返し・・・画像の赤の四角の中、ほとんどわからなくなりました。
「ほっ」
- 型染め?
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2014.10.05 Sundayタイトルは、「木綿中型染・・・」となっている藍地の古裂をネットで求めました。
幅は85cm、柄行きはヨーロッパ更紗(特にフランス更紗系風)でした。画像から垣間見る裏が無地なので、ちょっと怪しい・・・そんな思いが一杯の購入でした。ただ、柄が面白く、道具風呂敷にいいかしら?ととりあえず購入、しかしながらいい値段がついていました。
届いて、早速見てみると、怪しい思いは的中していました。技法は、染めではなくプリントでした。
藍は本藍、織りは綾木綿、更紗でも型染でもないプリント・・・さて、どうしましょ?
やっぱり、売り手の表記ミスですから返品することにしました。
どうして、これが中型染に見えるのでしょう?柄行きが小さくて、藍と白の組合せだとそうなってしまうのでしょうかね。染めるという単語を理解して欲しいものです。