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老松の仕覆

いつも、渡り裂で仕覆を作ることが多いのですが、これは幕末の緞子裂です。

もとは、丸帯だったのでしょう。入手した時は、小さめの座布団のカバーに仕立て替えられ、それを解いた状態のものでした。随分頑張ってきた二重蔓牡丹唐草緞子、最後は老松の仕覆となりました。

「老松」には、「長い年月を経たマツ。転じて、人物や組織の末永い繁栄を願う象徴」とありますから、この裂で相性がいいかもしれません。

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今の緞子と比較すると、手に触る感触は柔らかそのものです。織糸も極めて細いです。裂の力が足りないのでは?と懸念されるかも知れませんが、これは力が十分残っていました。ダーツの先端が少しだけとがってしまって、丸ーく丸ーく仕立てられていませんね。そのためちょっと失敗作です。たまには失敗作を載せるのもいいかしら?

author:Muu, category:お仕覆, 23:56
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盃の仕覆ふたつ

二つの盃(乾隆硝子)(宋定窯刻花)の仕覆が仕上がりました。

随分前にお預かりしたもの、遅くなってしまいました。

ガラスの盃には、ガラスの色に合わせて赤のヨーロッパ更紗、裏は白のカイキです。

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刻花の盃の方は、古い渡りの縞(産地はわかりません)に裏はブルーグレーのカイキです。こちらは、形が不整形で、6枚剥ぎの型紙で作りました。口も変形していますが、凹凸どちらを前に入れても大丈夫なようになっています。ちょっと難しい製図でしょうか?

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author:Muu, category:お仕覆, 23:01
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仕上げ

術後の腕の不自由もかなり解消されて来ました。仕覆モード再開しましょうか?

途中になっていた茶入の仕覆を二つ仕上げました。

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どちらも、古い瀬戸の肩衝茶入です。

表は、柄を調整するのと残布を生かす目的で一枚布ではなく、はぎが入っています。横から見た画像で確認できるでしょうか?

左は残布を生かす目的で、右ははぎを入れないと縞模様と無地の間が大きく間延びするので無地部分を小さくする目的ではぎました。

美術館や書籍などで目にする古い仕覆の多くも貴重な裂を生かすために、よーく観察するとはぎがはいっているものが多くあります。はぎは目立たないようについであるもの、裂が足りなかったのか柄が合わせられなかったもの、またこれを逆手に取って景色としているもの様々です。袋を作った古き人の汗が手に取るように分かります。

author:Muu, category:お仕覆, 23:24
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初心に帰る(6)

パーマネントプレスはどうでしょう?

茶入を取り出しても、形状記憶は十分のようです。このプロセスは、仕覆の作り手から点前をする方へ託す気持ちの何物でもありません。いよいよ仕上げの工程です。タコ糸を緒に取り換えて、最終的な緒の長さを決定します。これは、お好みや使い手が大きな手の男性であるとか様々な要素で決定されます。

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長さが決まったら、先端の四組をほどきます。四組x2=四組に変更するわけです。ちりちりの組み癖をコテで伸ばして糸を整えます。

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8組を4組にして組み直します。7目組み、5目で留め、残りの2目はまた解いてコテで糸を伸ばし、一気にカットします。

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跡は、露の留めです。つがりに用いたものより一回り細めのつがり糸で一文字に留めます。

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「これで、完成でしょうか」「大丈夫かしら」とお道具に尋ねてみましょう。

author:Muu, category:お仕覆, 23:55
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初心に帰る(5)

緒の次は、つがりをよります。

つがりも水道水に通して、自然乾燥させます。乾くといよいよつがり付けです。

片側の口の裏に合わせたテープを作り、12等分の印をつけておきます。このとき、一つ置きに○とか×とかのマークを付けておくと途中で混乱しません。普段は、これを付けませんが、今日は初心に帰って・・・×を入れました。×は針を裏から表に、×なしは、針を表から裏に、この順番を繰り返してつがりを付けます。使用する針はメリケン1号です。針には和針と洋針があります。仕覆なのに何故洋針?メリケン針は、洋裁用の手縫い針で1号から12号まであります。針穴が楕円形で針先が急にとがっていますのでつがり付けに適しています。帆刺し針を使われる方もいらっしゃいますが、メリケン1号よりも針径が大きくなり、今回のような目の詰まった渡りの布に用いると、針穴が大きく開いてしまって、布を痛め、袋のもちが悪くなります。

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つがりの付け始めと付け終わりは、胴突きという作業をします。つがり糸につがり糸を通して突き抜いて固定するおまじないです。静脈注射の血管を探す操作に似ています。うまく行くときは、1度で突き抜くことができますが、そうじゃないこともあります。

修理を頼まれて、仕覆の一部を解くことがありますが、この胴突きをしないで玉留をしているのも見かけることがあります。つがり糸の玉留ですから大きな玉になり、当然表に響きます。でも、玉留の方が絶対楽ですよね。

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つがりが付け終わると、一度お道具に着せてみます。まだ、戻れますから。OKならば、緒をタコ糸に変えて、お道具をラップで包み、全体にしっかり霧吹きをかけます。濡れた状態で口のひだを調整して、自然乾燥させます。仕覆のパーマネントプレスというべきでしょうか?

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author:Muu, category:お仕覆, 23:50
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初心に帰る(4)

昨日、緒とつがりの糸を決めましたから、緒を組み始めます。

緒とつがり、どっちを先に作りますか?緒?つがり?どっちでもいいのですが、緒を組んでいる途中で、イメージが違うと、心変わりに遭遇することがたまにあります。つがり糸のボリュームでは、そんな事はありません。

そのため、私は緒から組み始めます。

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常緒は短いので、簡単に組み上げられます。しかし、組む途中ちょっと気を緩めると怪しい球ができることがあります。そんな時は、玉まで戻るか、組み直しますが、途中で気がつかない場合が多いのです。短い時間、単調な作業ですが、気持ちを張っている必要がありますね。

組みあがると、アルコールランプで毛焼きして無駄毛を除き、水道水をじゃぶじゃぶ掛けて、自然乾燥させます。

じゃぶじゃぶは、緒を柔らかくするおまじないです。

author:Muu, category:お仕覆, 23:31
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初心に帰る(3)

表と裏の袋が縫えると最後にコテをかけて、中表に合わせて底を貼り合わせます。表に返して、おもり(大理石のさいころ型:別に何でも大丈夫です。重さがあれば)を中に入れて乾かします。

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この間に、緒とつがりの糸を決めます。表の横一線の緑から色をもらいたいと思います。いくつか候補の糸を表に合わせてみます。

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候補が決まれば、裏とも合わせてみます。表と相性が良くても、裏とちぐはぐではどうも頂けません。

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そして、糸のかせから糸巻に糸を巻き取ります。全て手作業です。何故手作業かというと、1本の糸を手で感じながらの作業なので、(結び目など)糸の不具合があればすぐに見つけられるからです。手ってすごいですよね。

author:Muu, category:お仕覆, 23:41
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初心に帰る(2)

さて、表の側面ができたら、底と中表に合わせて縫い合わせます。縫い糸は9号の絹手縫い糸。何故絹糸でしょう?縫ってみればわかりますが、化繊糸や木綿糸では糸のしまりが出ませんし、強く糸を引くと和紙の針穴が大きくなってしまいます。側面側の縫い代は細かく切れ目を入れ、細かい返し縫で一周を縫います。和紙側に玉留を作ります。布側に作ると、表に玉留の玉が響きます。

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底が付いたら、お道具に裏状態で着せてみます。ちょっと、ダーツの緩みが気になりますね。ここで、細かく縫ってあるダーツをほどきますか?綿が入れば、膨らむし・・・でも、お道具に少しでも寄り添うには、ほどくしかないでしょうね。今なら戻れますから。道具に着せたままで、胡粉で補正線を引きます。町針を打った後、縫糸を丁寧に解き、補正線の内側を縫いなおします。必ず内側にします。補正するときは、やりすぎに注意する必要がありますから。これは、仕覆に限らず、よくあることですよね。

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縫いなおした縫い代は、木の卵を縦にしてコテで割り、もう一回お道具に聞いてみましょう?「これでいいかしら?」

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大丈夫のようですから、底の縫い代分の和紙と布を一緒に切り取ります。最終的な縫い代は1.5mm程にします。この作業で底のおさまりの全てが決まります。もう、後戻りできませんから、ちょっと勇気の必要な作業です。

author:Muu, category:お仕覆, 23:46
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初心に帰る(1)

My 働き方改革とでも言いましょうか、1月の手術後の出勤からなるべく残業をしないようにしています。

早く帰宅して何を?パンを焼いたり、お仕覆を作ったり。。。やりたいことは、いっぱいあります。

今日は、お仕覆です。今回のテーマは、「初心に帰る」。

プロセスを細かくコマドリして行きたいと思います。

しつけに使うのは、胡粉です。何故面倒な胡粉を使うのか考えてみると、しつけをするときの布への圧力や摩擦が一番少ない点だと思います。何かで書くしつけ作業だと絶対に布を引っ張ったり、押したりしてしまいます。そして、水で溶かした胡粉を面相筆に付けて使います。毛はイタチです。何故イタチでしょう?イタチの毛は弾力とこしにすぐれ、まとまりやすい性質があります。この筆は、何年か前に奈良へ行った時「一心堂」で買ってきたものです。一心堂は大正年間から筆を作っていて、ご店主と自分が使いたい筆のお話をしながら買った記憶が今でも鮮明です。ご店主の道具にたいする思いのようなものを感じました。

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お道具は、古い薩摩焼の茶入です。型紙通りに裏を縫い上げ、問題がなければ表を裁ちます。今回は、そろばん型の茶入れでしたので、型紙の口幅を修正し、裏を完成、表にしつけを入れます。

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まず、中央のダーツを縫って、縫い代を割ります。丸く仕上げるため、コテ台は木の卵です。1辺縫うごとにコテ作業をします。中央の次は脇縫いです。

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今夜は、ここまでです。

author:Muu, category:お仕覆, 23:51
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久しぶりです

納期間近で、お尻に火・・・引越してからもすぐに仕覆の仕事ができるように、道具類や絹糸、裏地など区別した箱に詰めて、管理したつもりでしたが、引越し当日最後のばたばたで予定した場所に予定した箱が置かれていなかったようで、その箱が見つかりません。緒やつがりを作る絹糸が見つからない、次はつがりをよる道具が見つからない、組みひもの錘が見つからない・・・やれやれ、なかなか完成に至りませんでした。

ひとつ目は、時代のある大きくて重い彫唐津の茶碗です。形もかなり不整形です。表は、渡りの唐木綿です。茶碗の重さ、風貌からこの裂以外に合うものがありませんでした。現在開催されている東博の展示に、この茶碗と似たものがあるそうです。来週行こうと思っています。久しぶりに裏と共裂で柱を作りました。大きな柱で、綿を詰めても詰めてもピンとはったきれいな形になりませんでした。

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二つ目は、江戸期?の萩茶碗。これも不整形です。表は、袴の表で唐桟、裏はその袴についていた裏で紫の甲斐絹、袴をそのまま茶碗に着せた感じです。こちらは、箱の四隅に四半円の木の柱がついていましたので、柱を作ってもうまく収まりません。

何とか、完成し仕事の合間のお昼休みに取りに来てもらいました。本当は私の方から納めに行くのが筋ですが、ごめんなさい時間がまったく作れないのです。

どちらも気に入ってくれることを願いながらお渡ししました。

author:Muu, category:お仕覆, 22:06
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