- タナ・トラジャに伝来したインド更紗
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2019.04.08 Monday
18−19世紀、インドのコロマンデル海岸からインドネシアの富裕層向けに輸出された繊細な手紡ぎ木綿の更紗です。
258x108cmの完全な長さの一枚布で両サイドの鋸歯文部も完ぺき、今ではなかなか入手できません。
ブロック捺染と手描き併用の繊細で緻密な文様が描かれています。手描きのこげ茶の部分のみ全体的に退色しています。
200~300年の間、大切に大切に何人もの人の手を渡りながら大切に保存されていたのでしょう。木綿地に大きな穴も見当たりません。
よーく見ると、数か所の補修部分がありますが、上手の補修が施され、ほとんど目立ちません。この補修から察するに、どんなに大切に扱われてきたのかがわかります。
- 蔓薔薇のインド更紗
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2019.01.24 Thursday
入院前にオークションで求めていた更紗が届いていました。
よく目にする蔓薔薇のインド更紗のハギレです。このブログでも同種を掲載したことがあると思います。
18世紀から19世紀の長い期間に渡りスタンダードで日本にもたらされたもので、微妙に版の大きさ、版そのものや染め方が違います。
一番多いタイプは、以下の2種です。
今回入手したのは、以下です。
花の版が2種ありどちらかというと版が雑で、花芯に茜があしらわれています。また、蔓の部分全体に緑(たぶん元は緑)が挿してあります。蔓は、上の茶のパターンに似ています。
比べてみると違いが良く分かります。やはり、ロングセラーだったんですね。
- 生命の樹はぎれ
- 初仕事&初裂
- 切り張り補修のVOC
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2018.12.07 Friday
どこかで見たことがありそうな茜の鮮やかなVOC刻印のインド更紗です。
有名な更紗の本の表紙一面にとてもよく似た更紗が使われています。これは、本物のVOCで、実際には3種の異なった印がついていました。
一枚布と書かれていましたが、どうも長手のサイズが165cmと短いのです。普通は2M以上あります。
いいとこどりでついであるのです。
左の画像のように、穴部分には、同じ柄を持ってきて補修。
右の画像のように、横一線継いであり、茜の退色度合いが違います。
前の持ち主は、一部の状態が悪い部分を補修にまわして、何とかつながった一枚に再生したかったのでしょう。
裂への思いが伝わります。
- 病気は続く
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2018.12.03 Monday
千葉の畑に向かう車中で、骨董市の店主から電話がありました。
見てもらいたいものがあると、、、、骨董市の3文字が私の頭からデリートされてずいぶん経っていました。
そうか、今日は骨董市。やっと畑に行けると出てきたわけですから、引き返すわけにも行きません。
先ず、骨董市に行っている知人にメールで画像を送ってもらいました。
裂のことになると、なりふり構わず、背筋も伸びるのは不思議です。
「夕方まで待っているから」と店主・・・なんとも申し訳ない。でも実物を見ないわけには行きません。
骨董市はとっくに終わり、真っ暗になった境内で店主は待っていてくれました。
白地の一枚物スバギでここまで状態が良いのはなかなかめぐり合えません。私の裂病は、即座に再発していました。
- 茜ペイズリーの更紗
- 彦根手再会
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2017.09.12 Tuesday
今月は、彦根手更紗に2度も出会うことができました。
なんとラッキーなことでしょう。
いつも、ご店主の奥様お手製の心のこもったラッピングで送られて来ますので、解くのがもったいないと・・・ちょっと躊躇します。
上下に配されたのは、渡りのペルシャ更紗のバイヤス裂です。よく古い更紗のパイピングに使われているものです。
でもでも、中を早く見たい。
17世紀からずっとずっと人の目を楽しませて来た小さな更紗裂ですが、やはり存在感があります。何かに使える裂ではなく持っておくだけで幸せな贅沢な一枚ですね。
えっ!! 大きさですか?縦10cm強です。以前にもっと小さな彦根手を求めたことがありますから・・・